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フィリピン クリオン島の台風被害

フィリピンを襲った巨大台風ハイエン(現地名ヨランダ)の被害状況が、日本でも連日ニュースで流されます。
レイテ島のタクロバンを中心とした、ヨランダのすさまじい爪痕に心が痛みます。フィリピンと長いつながりを持つ笹川記念保健協力財団は、フィリピンの各地の友人たちの安否を心配していました。特に、被害があったと聞きながら、連絡がなかなかつかなかったクリオン島。ようやく連絡が取れたのが、先週の木曜日の夕方でした。

<財団とフィリピン>
笹川記念保健財団は、設立の1974年にフィリピンに対するハンセン病対策活動への協力が開始し、化学療法の研究、薬品・機材の供与、人材育成、専門家派遣などを行ってきました。2003年以降は、フィリピンでのハンセン病活動支援は、回復者や家族の経済的・社会的自立をめざした諸活動へと変わっていきます。その中心となり、財団が継続的な支援を行ってきているのが、世界最大のハンセン病隔離施設として、多くの国のハンセン病政策に大きな影響を与えた、クリオン療養所でした。これまでの支援は、子どもたちの教育支援や職業訓練、経済自立を目指した少額融資や養豚から、コミュニケーション手段の整備、住環境整備や歴史保存まで、多岐にわたっています。財団の対フィリピン支援についてはこちらからどうぞ

朝焼けのクリオン

<クリオン療養所ならびに総合病院の院長であるクナナン先生より>
台風が過ぎ去った翌朝、クリオンの姿はまったく変わっていました。特に影響を受けたのは海岸近く。家屋が倒壊し、病院も45%の建物が壊滅状態です。入院病院も倒壊し、医療機器も使えなくなってしまいました。今でも(14日夕方)、水、電気は通っておらず、輸血用の血液など、必要最低限の機材を動かすために必要な電気は、自家発電でかろうじて対応しています。水も電気も通らず、食料も少なくなっていく中、電話もインターネットもつながらず島の外では何が起こっているのか分からないという状況でしたので、非常に不安でした。早くから警戒態勢に入っていたために、死者が出なかったことだけが救いです。水、電気、シェルター、薬品、衣服。足りないものをあげればきりがありません。どこから手をつければいいのか。政府をはじめとする緊急援助は被害が最も大きかったレイテやセブ、サマールに集中しており、ここまでは手が届いていません。それでも被害を考えれば、私たちは幸運だったのでしょう。何とか生活を立て直していかなくてはなりません。

倒壊した家屋
病院の被害状況

台風で亡くなった皆さまのご冥福を祈ると共に、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。全国の8国立ハンセン病療養所のうち、最も被害が大きかったのがクリオン療養所だそうです。笹川記念保健協力財団は現地とのコミュニケーションを取りながら、緊急支援・復興支援を行っていきたいと思います。