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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター114号】大使メッセージ:ブラジルでのハンセン病制圧に向けて

ルラ大統領と笹川陽平WHOハンセン病制圧大使、ブラジル、2008年

ブラジルにおいて、今年1月に新政権が発足した。ルラ大統領の再登板になるが、まずはその就任に心よりお祝いを述べたい。私はルラ大統領と過去に何度か面談しているが、世界的にみても、同氏はハンセン病問題に深い理解を示す数少ない指導者の一人である。その証左として、同氏は前政権下にあった2007年に、旧ハンセン病療養所の入所者に対する金銭的な補償を行う法律(Law 11520)を成立させている。

周知のとおり、ブラジルはWHOが掲げた公衆衛生上の問題としての制圧を達成していない唯一の国である。私は、ルラ大統領によるリーダシップの下、ブラジルでのハンセン病対策が大きく前進することを期待するとともに、その過程で、出来る限りの貢献をしたいと考えている。

その一例として挙げられるのが「ブラジル全国ハンセン病サミット」の開催である。これは、大統領、関係閣僚、蔓延州の知事や市長、全国の医療従事者、当事者、NGO、研究者らが一同に会し、制圧に向けたグランドデザインを話し合うことを目的としている。本サミットは、2020年3月末に開催を予定していたが、コロナウィルスのパンデミックにより、直前になって延期されるに至った。

私は3月にルラ大統領宛ての書簡を大統領府へ提出するとともに、保健省の関係者に対し、全国サミットの開催に向けた話し合いを再開するよう申し入れを行った。その結果、先方より前向きな回答を得ることができた。このサミットが、ブラジルでのハンセン病制圧に向けた契機になることを期待したい。

WHOハンセン病制圧大使
笹川陽平