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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター117号】「ハンセン病を忘れないで」キャンペーン:グローバルから各国レベルの取り組みへ

ハシナ首相と笹川陽平WHOハンセン病制圧大使(2023年9月5日、バングラデシュ首相府にて)

私がDon’t forget Leprosy/Hansen’s Diseaseキャンペーンを立ち上げてから2年が過ぎた。当初は、「コロナ禍にあってもハンセン病問題、特にハンセン病を経験したことで社会から不当な差別を受けている患者・回復者・その家族らの存在を忘れるべきでない」というメッセージを世界中に伝えることを目的としていた。

パンデミックの期間中は、ウェビナー・シリーズの開催や、当事者団体に対する緊急支援などを行った。昨年からは、徐々に海外に出ることが出来るようになったため、キャンペーンの一環として、3つの国際会議、第2回世界ハンセン病当事者団体会議(於インド・ハイデラバード)、バチカン国際ハンセン病シンポジウム~誰一人取り残さない社会の実現に向けて(於バチカン)、らい菌発見150周年記念ベルゲンハンセン病国際会議(於ノルウェー・ベルゲン)を開催した。これらの国際会議を開催したのは、コロナ禍において、対面での話し合いが行えない状況が続いた中、関係者が一同に会する機会を設け、ハンセン病問題のない世界の実現に向けて、共に協力し合い、再始動する気運を高めることが目的であった。

キャンペーンは、現在次のステージに進もうとしている、すなわちグローバルから、各国レベルでの取り組みへシフトすることである。9月にはバングラデシュを訪問し、ハシナ首相と面談し、11月初旬に第2回目となるハンセン病全国会議を実施することで合意した。ブラジルでは、11月後半に同様の全国会議の開催が予定されており、ルラ大統領にも参加していただくことになっている。2024年中には、同様の会議をエチオピアで開催する準備を進めているほか、インドでは、ハンセン病にかかわる差別法撤廃に向けた全国会議の開催も検討している。

私は来年1月に85歳を迎えるが、ハンセン病制圧に向ける想いは未だ衰えることはない。今後もDon’t forget leprosyの精神を忘れることなく、誰も取り残されない、そして誰もが参加出来る社会の実現に向けて尽力していきたい。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平