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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター126号】パートナーシップの力:ハンセン病のない世界へ、50年の歩み

グローバル・アピール2024の際、WHO本部にて、テドロス事務局長(左)の定例記者会見に同席、2024年1月31日、スイス・ジュネーブ

2025年は、WHOと日本財団/笹川保健財団が協力を始めて50年の節目にあたる。この間、私たちはWHOを通じて各国のハンセン病対策を支援し、総額は2億ドルを超える。この金額は、各国や関係機関の拠出額に比べ、決して突出してはいないが、50年にわたる両者の継続的な協力により、ハンセン病問題は大きく前進した。

例えば1995~1999年には、5000万ドルを投入して治療薬MDTを無償で配布し、その結果1000万人以上が治療を受け、2000年までに世界レベルで公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧が達成された。その後もWHOが掲げた「Final Push」のもと、未制圧の12か国を支援し、ブラジルを除く国々で制圧が成功した。

2000年代に入り、私が「ハンセン病と人権問題」に取り組んだ結果、2010年に国連総会で192か国の全会一致による「差別撤廃決議」と「原則とガイドライン」の採択に繋がった。これを受け、WHOは「世界ハンセン病戦略」に差別撤廃を明示するようになった。

私の「モーターサイクル理論」──ハンセン病対策は前輪が病気の治療、後輪が差別撤廃──に基づき、WHOと私たちは一体となって協力してきた。この長期のパートナーシップを通じて得られた成果は、支援額よりも、継続性とコミットメントの裏付けが不可欠であることを示唆している。

ハンセン病問題は決して終わったわけではない。今後、ハンセン病をゼロにするために、両者はさらに緊密に連携していく必要がある。そして、WHOをはじめとする国際機関が未曽有の資金難に直面する中、WHOと私たちのパートナーシップは、将来の協力モデルのあり方を示すものであると私は確信している。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平