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日本財団在宅看護センター起業家育成研修 神戸・大阪研修報告

6月から始まった日本財団在宅看護センター起業家育成研修では、毎回、前後期に地方へ出かけています。今回は、7月14~16日に神戸と大阪に行ってまいりました。

初日は、WHO(世界保健機関)神戸センターを訪問しました。ここではWHOの役割や活動についての講義を受けました。WHOが推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現には、看護師の果たす役割が大きいとうかがい、健康だけでなく社会全体の課題に対し、看護師一人ひとりが持つ影響力を深く考える機会となりました。

*「UHC」とは、「Universal Health Coverage(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)」の略で、「すべての人が適切な保健医療サービスを受けられること」を意味します。財団を創設した笹川良一翁の「地球は家族、人類は兄弟姉妹」も同じことを目指しています。

WHO神戸センターの後は、JICA関西食堂でエスニック料理をいただきました。

午後は、世界的な医療機器メーカーシスメックス株式会社を訪問しました。音響機器メーカーとして出発した同社は、1970年代より臨床検査機器分野に進出。今や売上の86.7%(2025年3月期)は海外、世界190カ国以上に製品やサービスを提供するグローバル企業です。当日は、「マイスター」と呼ばれ、多数の特許を取得した顧問から開発秘話を直接伺うことができました。どんな時でも「強い信念と挑戦心」で幾多の困難を乗り越えきた同社の姿勢に受講生たちは感銘を受けました。さらに、手術支援ロボット「ヒノトリ」の操作体験に、受講生は大興奮。医療現場を支える世界の最先端の技術力に触れることができました。

研修2日目は、大阪・関西万博の会場を訪問。

当日は雲一つない晴天。入場前に全員汗まみれという酷暑の中、まずは受講生全員で「ヘルスケアパビリオン」を見学し、iPS細胞による心筋シート等、未来の医療や健康に関する最新技術に触れました。

午後からは自由行動となり、受講生は各自の関心に応じて他のパビリオンや催し物を見学。世界各国の多様な文化に触れ、「地域で活動する看護師も、地域の中だけでなく、広く世界に目を向ける必要がある」と強く感じた1日でした。

研修最終日は、松本京子氏のホームホスピス「神戸なごみの家」を訪問しました。

ここでは、一般住宅を改装した温かみのある住空間で、入居者一人ひとりが病人としてではなく「普通に暮らす」ことができるよう、支援を行っています。

施設内では、アニマルセラピー犬が生活しており、その存在は入居者にとってはもちろん、スタッフにとっても心の支えとなっているとのことでした。

この施設見学は、受講生全員からの強い要望で実現しました。訪問看護師として忘れてならない大切なことは何か、ケアや支援の在り方を見つめ直す貴重な学びの場となりました。

東京に戻ると、7月19日には聖路加国際大学シミュレーションセンターでの「フィジカルアセスメント実習」、7月25日は、秋山正子氏の「マギーズ東京」を見学しました。

フィジカルアセスメント実習では、「いつもと違う」と感じる直感と状態観察に基づく適切な対応の重要性を再認識するとともに、開業後もスタッフと学び続ける必要があると感じていました。

「マギーズ東京」では、がんに対する孤独や不安を抱えて訪れた人が、安心して話ができるよう、細部まで計算されたインテリアや庭、心地よく心からリラックスできる環境が整えられており、受講生たちはその空間に息をのみました。見学後も興奮冷めやらぬ様子の受講生たちでしたが、晴海運河の海風を感じながら、それぞれ帰路につきました。