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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター128号】協力によって道は開ける

第22回国際ハンセン病学会開会式において、ブディ・グナディ・サディキン保健大臣(左から2番目)とともに、「ハンセン病ゼロ」実現への強い決意を示すセレモニーが行われた。(2025年7月7日、インドネシア・バリ)

2025年7月、インドネシアを訪問し、笹川ハンセン病イニシアチブ主催による第3回世界ハンセン病当事者団体会議と3年に一度開催される国際ハンセン病学会(ILC)への参加、およびブディ・グナディ・サディキン保健大臣と共に東ジャワ州の蔓延地視察を行った。

私は、「現場にこそ問題があり、そして解決策もある」との信念のもと、これまで125か国を訪れてきた。現場に常にいるのは、ほかでもない当事者自身であり、その声の中にこそ、持続的な問題解決のヒントがあると考えている。当事者団体会議では、世界21か国から集まった110名を超える当事者団体の代表者たちに対し、「ハンセン病との闘いには、皆さんの力が必要不可欠である」と伝えた。しかし、その声を政策に反映させ、実行に移すには、政府の強い意志とリーダーシップが求められる。

今回のILCでは、サディキン保健大臣が、同国のハンセン病ゼロに向けた具体的な強化策を正式に表明した。続いて、共に訪れた東ジャワ州サンパン県では、大臣が新規患者の一時的な増加は恥じるべきではなく前進であると明言し、自ら3か月ごとに現地を視察する方針を示したことは、極めて意義深いものである。また、その後東ジャワ州の知事らと面談し、同州をハンセン病制圧のモデルとして位置づけ、行政・宗教界・NGOが連携する制圧推進委員会を立ち上げることで合意した。

いま、インドネシアには確かな追い風が吹いている。この流れを着実につかみ、他の国へと広げていく必要がある。ハンセン病ゼロに向けた道のりは決して容易ではないが、当事者、政府、地域社会、それぞれの立場の人々が力を合わせてこそ、確かな前進が可能となる。私は今後も、現場の声と社会を結ぶ橋渡し役として、皆とともにこの歩みを進めていく所存である。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平