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国立療養所長島愛生園 資料・証言保存プロジェクト

 日本における、ハンセン病療養所入所者の平均年齢は85歳をこえました。全国に13ある国立のハンセン病療養所の中には、入所者の高齢化に伴い、彼らの生きてきた歴史を残す活動を進めているところがあります。

その中の1つ、岡山県瀬戸内市にある国立療養所長島愛生園(注1)では、1950年代から歴史を記録する取り組みが行われてきました。1955年には収集した史料が展示され、その後も収集・保存・展示の活動は継続されています。その流れを受けて1996年には長島愛生園の歴史を語り継ぐための資料館整備の検討が始まり、旧事務本館を改修した「長島愛生園歴史館」(注2)が2003年にオープンしました。

長島愛生園歴史館/旧事務本館
長島愛生園のジオラマ (入所者作成)

長島愛生園でも入所者の高齢化は例外ではなく、入所者自身が語る、歴史や証言を記録できる機会は貴重なものとなっています。そこで、長島愛生園では2016年度より①資料の整理・保存に加え、目録作成、デジタルデータ化、②入所者の証言保存に取り組んでいます。

①資料の整理・保存

長島愛生園入所者自治会に保管されている活動記録など、文書資料約1,500冊の整理・保存とデジタル化を行っています。書庫に置かれている活動記録の簿冊目録をもとに、簿冊ごとの詳細目録を作成し、データ入力された簿冊はデジタルカメラで1枚ずつ撮影、メディカルフリーザを使用して殺虫します。その後、保存のために暗所に保管しています。

デジタル化のための機械
デジタルカメラで撮影
メディカルフリーザ
 
 
 
 
 

②入所者証言

2016年、看護師・介護士が中心のチームがつくられ、専門家監修のもと、映像証言の聞き取りが開始されました。証言を希望した長島愛生園の入所者、46名の映像証言と音声証言は記録が完了し、映像の編集と、音声証言の文字起こし作業とが終了しました。(映像証言11名・音声証言35名)

11名の映像証言は、愛生園内の歴史館映像室で近日公開予定です。(すでに25名の方の映像証言は公開されていて、どなたでもご覧になることができます。)

今後は音声証言35名の編集作業が行われ、編集作業が終わり次第、随時公開が予定されています。

映像証言は歴史館映像室で公開

(注1)長島愛生園HP

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/hansen/aiseien/

(注2)長島愛生園歴史館HP

http://www.aisei-rekishikan.jp/

※2019年3月、長島愛生園歴史館ほか4棟の建物が国の登録有形文化財に登録されました。