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シリーズ9 在宅の仲間たち〜 「幹(みき)在宅看護センター」

フルーツ王国 和歌山の”幹”に!! 日本財団在宅看護センター「幹(みき)在宅看護センター」

法人名:一般社団法人 幹

事業者名:幹(みき)在宅看護センター

所在地:和歌山県紀の川市貴志川町長原528の7

HP:http://miki-zaitaku.com/index.html

FB:https://www.facebook.com/一般社団法人-幹-303803566809942/

電話:0736-64-4322 FAX:0736-64-4331

開業:2018年3月1日

代表理事:丸山美智子 研修4期生

2018年3月、和歌山県で初めて日本財団在宅看護センターが開所しました。

「幹(みき)在宅看護センター」は、

「フルーツ王国」 をうたう紀の川市にあります。開所月の3月は、ハウス栽培のいちごが産直市場にたくさん並び、まさに桃源郷、桃の花満開の頃でした。

 開所早々、緊張しながらの訪問看護から事務所への帰路、桜とはまた違う桃色の花一面の、まさに桃源郷を通りながら、自分自身が癒されました。

  7月には、立派な果実が実のりました。毎日、美味しそうな丸々した桃を求める各地からの観光客でいっぱい、夏になったなぁと感じました。夏が終わり、今は秋の果物イチジクがいっぱい実  をつけています。そろそろ柿も出番を迎えます。

季節の移り変わりを感じながらあっという間に、独立開所して半年(1/2年)がすぎました。常勤看護師3人で人文字「2分の1」を作ってみました。

 代表理事丸山は、大学附属病院救急救命センター勤務を約10年、フライトナースも経験しました。この間、交通事故後の身体障がい、溺水後の低酸素脳症の子ども、生きづらくてリストカッ トを繰り返す人、突発的に農薬を飲んだ人など、さまざまな急性期事例に関わりました。そして、これらの方々は、帰宅後どのように生活するのだろう、との思いを常に抱いていました。

日本の新生児医療の進歩により重度な障害をもっていても生きることができるようになりました。しかしその子供たちの親は、子どもが退院後に一夜として熟睡できないことも知りました。

大学病院の次に勤務した重症心身障害児施設で管理者を務めたことで、医療保健分野とはまた違った障害福祉制度を知ることができました。次は自分自身でこれまでに気になったことに関わりたい、と、訪問看護ステーションの開設を考え始めた頃、「日本財団在宅看護センター起業家育成事業研修」の募集を知りました。即、応募しました。

研修の8か月間は、楽しくて夢をみているような日々でした。東京のど真ん中で日本の最先端を担っている講師陣のビビットな講義、グローバルな講義など、和歌山では…なく、何処でも、なかなかチャンスがない講義や見学の数々。東京滞在中だからこそ可能だった東京大学の一般公開セミナーや様々な学会研究会への参加、そこで出会った多様な分野の方との人脈造りが財産となりました。講義の合間には、美術館巡りも観光も楽しみました。研修の企画牽引役の笹川保健協力財団理事長(現会長)喜多悦子先生の知的好奇心でしょうか、折々の一言二言が、私たち研修生をそそのかし、モチベーションを上げてくれました。

そして幸運だったことは、日本財団笹川陽平会長の世界の平和や医療保健・人権や福祉に対するお考えを直接うかがうことができたことです。笹川会長とのtwo shotの写真は家宝です。

とてつもなく内容の濃い8か月の研修で、「開所後は量と質の両方で世の中に看護の力を示さなければいけない」という覚悟をもらえました。

「幹(みき)在宅看護センター」に、同じ志、想いをもつ相棒がいてくれるのは、とても幸せなことです。機能的にも重要なパートナーです。現在のスタッフは、常勤看護師3人ほか、非常勤で看護師9名、理学療法士3名、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、栄養士各1人と多職種が所属しています。30代から60代が、活発に働き、学び、そして遊んでいます。さらにありがたいことに、医師、薬剤師、臨床心理士、支援学校の先生など、必要に応じて相談できる様々な専門職が近くにいます。

「幹(みき)」は、0歳から100歳以上、どの年齢層であれ、どんなに重症であれ、どんな医療機器に囲まれていても、365日24時間、訪問します。身体と心の健康全体を、生活の場において、医学的に、しかし看護の視点でのケアをおこないます。そして必要な場合、適切な専門家につなげられる幅広い知識をもつジェネラルナースを目指しています。月に1度のランチョンセミナーでは、各スタッフが得意分野を講義し、互いの知識を深めます。学会や外部研修会に参加した場合には、必ず、伝達講習を行います。

「幹(みき)」という名前は、代表理事である「みちこ」の「み」、管理者である「きよこ」の「き」で「みき」から名付けました。「幹」という漢字には太く強く支える存在でありたいという思いが込められています。

開所直後、以前の勤務先で関わった福祉事業所から精神科訪問2件、そして支援学校の先生からの問い合わせで小児の訪問が始まりました。精神科訪問はその時に担当した医師から次の依頼がきたり、関わった相談支援事業所から次の依頼が来たりと少しずつ増えています。最近はカウンセリングをしている臨床心理士からの依頼がありま した。社会問題でもある「ひきこもり」にも関わり、やり甲斐を感じる反面、発達障害などを含め、まだまだ学習が必要だと感じています。

開業間もない3月末日、旧知の医師の依頼で、初めて看取りをさせて頂きました。なくなる前日、「幹」の名刺、私の名前をみて、「命綱」と言ってくれました。自分と年が変わらない方が亡くなる・・健康である私は、できることをしっかりとしなければ、と痛感しました。

また、「生き切る」ということを教えてくれた方があります。私よりも若い方でした。色々な管(ルート)を7本もつけたままの退院。退院日は買い物に行き、翌日はほんの少しケーキを食べていました。退院後5日目のことです。

「もういい?」と私に尋ねました。

「(娘と買い物にゆく、外出を楽しむなど)あなたがやると言ったことはやり遂げましたよね」と私が答えた翌日、ご家族に看取られて静かに旅立たれました。限られた命の時間の中で本人のやりたいことを応援するために、「多職種協働」という言葉がすっきりとあてはまる事例でした。フットワークの軽いケアマネジャーさんや病院勤務の医師と在宅専門の医師のダブルで関わってもらうよう調整を重ねました。そして、嬉しいことがありました。病院勤務医から、「在宅との連携が如何に大切かということを、日々学ぶことができた」との言葉とともに、「どこかで発表したい」とも。病院勤務医が在宅で療養される方の状況を発表して下さること、在宅看護師として、とても有難いと思っています。

開業後まだ短期間ですが、それぞれの看取り毎に、多くの学びがあります。ご家族は、医療者が思うよりはるかに不安であるが故に、少しの声掛けや働きかけが不安を軽減している様子を毎回実感します。

今は6か月の子どもに癒される毎日です。合併症の多い病気ではあるけれど、モニターの数値におっかなびっくりの毎日ではあるけれど、大きな瞳と泣き声でしっかり自己主張し日々成長発達を感じています。お母さんを主とした家族2018ケアも含めて、目の前の命にしっかりと向き合っていきたいと思います。

「看護師が社会を変える!!」研修の広報にあった、壮大な目的…には、まだまだ届きませんが、「幹」は、看護を通じて「笑顔の瞬間」を提供することを理念とし、在宅療養生活の中で、利用者さんもご家族も、そして我々も笑顔の瞬間をもてるよう、精進していきます。