起業家育成事業が目指すもの

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「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業

~「看護師が社会を変える」ことへのチャレンジ~

笹川保健財団は日本財団の助成を受け、2014年度より在宅看護センター起業家育成事業を行っています。
本事業では、10年程度の経験のある看護師を対象に在宅看護センターの起業に必要な経営スキルや地域と連携するために必要なスキルを学ぶことが出来る8ヶ月間の研修を運営しています。

なぜ看護師なのか

■日本の医療保険制度は持続できるのか
2000年、WHOは日本の医療保険制度を「世界的に総合点でNo.1」と評価しましたが、わが国の国民医療費の総額は毎年1兆円を超えるペースで増え続けています。
人類史上初めて、超高齢社会に突入し、世代間格差、地域格差が広がる中、これまでのように「何でも病院、念のため受診」が許される状態ではなくなってきています。
しかし健康であること、健康を守るための手段を確保することは基本的人権の一つです。
“Health for All(全ての人に健康を)”を実現する為には、どのようにしたらよいでしょうか。

出典:厚生労働省 平成 28年度 国民医療費の概況

■地域の健康を護る・・・
PHC(プライマリーヘルスケア)とは、人々が自分の健康を考えることから始まります。どのように健康を自分で守るのか、そのお手伝いは、地域で活動する在宅/訪問看護師の重要な仕事の1つです。看護師は身近に存在する保健専門家として、治療の場で医師と協働するだけでなく、地域において様々な保健専門家と協力して、人々の生活を含めた、看護、健康指導を行うことができます。

日本財団在宅看護センターとは

■日本財団在宅看護センターネットワーク
笹川保健財団は2014年から日本財団の資金援助を得てこの事業に取り組んでいます。地域の人々の健康を守り、病気・障害の際のケアを行う、看護師の拠点として日本財団在宅看護センターを築ける看護師を養成し、ネットワークは全国各地にその数を広げつつあります。2020年1月現在 22都道府県55ヶ所

「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業の5年間の経過が、コミュニティケア2019年11月臨時増刊号(日本看護協会出版会)として出版されました。
「看護師が社会を変える!」をスローガンとした挑戦的な事業をなぜこの時期に始めたのか、その経緯と講義・実習の内容と成果、各センターの起伏に富んだ経過が物語的に書かれています。
是非ご高覧ください。

訪問看護ステーションと在宅看護センターはどう違うのか

「訪問」は看護師主体の言葉であるの対し、「在宅」は利用者や家族を主体とした言葉です。
病院や施設では、食事や睡眠時間、治療の時間等、医療者主体のレディ・メイドの医療・看護を提供せざるを得ませんが、自宅では医療者が利用者のそれぞれの日常生活に合ったオーダーメイドの医療・看護を提供します。主体が利用者や家族なのです。
また、「ステーション」ではなく「センター」を使っているのは、地域の中心的存在であって欲しいという願いを込めています。

【対談】看護師が社会を変える

日本財団 会長 笹川陽平
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笹川保健財団 会長 喜多悦子

  • 喜多悦子会長

    喜多

    この度の日本財団支援で始める「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業への過程を説明しますと、当財団は十数年来ホスピス緩和ケア事業として看護師及び医師の研修をやってまいりました。これは医療施設内のケアプロバイダーの機能強化でした。今、日本は人類史上初めての高齢社会に入っています。健康が壊れた場合は医療で解決しますが、多くの高齢者の健康は壊れてないけれど少し質が悪くなっている、それをどこで看るかは国際保健の現場にいた時から気になっていました。さらに看護教育に携わったなかで、このような事業をどこかで出来ないものかと考えていました。

  • 笹川陽平会長

    笹川

    私は、組織も人も変化し、時代のニーズにきちっと合ったものは何か、それにどう対応できるかが大事だと考えています。笹川記念保健協力財団と日本財団が協力して行った緩和ケアや訪問看護の専門家であるホスピスナースの養成は3,000人にも及び、これは大きな組織力です。これらの組織も活用し、ご指摘のように、世界で最も早い高齢社会を迎える日本ですが、この事業は日本のみならず、高齢化を迎える他の国々にとっても一つのモデルケースになりうるようなチャレンジングなことで、喜多理事長の長いご経験の上で実行していただけるということで、大いに期待しております。

  • 喜多悦子会長

    喜多

    高齢者が多くなった日本の健康をどうするかを考えた時、看護師だと思いました。多くの医師は医療施設で働いており、地域を看ることに関しては、医療施設の医師を即地域に持ってきても効率も機能もうまく合わないと思います。その点看護師は人々と近く、これからも増えてくる高齢者対策という社会のニーズに対し、その機能で対応する方針でやっていきたいと考えます。

  • 笹川陽平会長

    笹川

    今回の計画は二つの点で大変ユニークだと思います。一つは、国民の側、医療の受け手側からすれば在宅ケアが理想ですが、これに対して積極的にアプローチしようとする取り組みだということ。もう一つは、ケアをする側、看護師の関わり方です。多くは病院を中心に医師からの指示の範疇で活動している状況から、在宅に近づいていくに従ってインセンティブも変わってくるでしょうし、自分たちが一つの事業を行いながら国民生活で最も重要な健康管理を積極的に支えていくということで、従来の考え方からもう一段飛躍し、表舞台に出て起業マインドで仕事をする。これは長い看護師の歴史の中でもエポックメイキングになるような出来事ではないでしょうか。喜多理事長はどうお考えですか。

  • 喜多悦子会長

    喜多

    おっしゃる通りだと思います。看護師は自立を願いながらも起業マインドが弱い。このコースでは管理的ノウハウを勉強していただく場とします。世界的にも看護師は医師のスーパーバイズのもと、というのが出来上がり過ぎて、それを突破するのが非常に難しいと思います。また、看護でなく介護という意見もありますが、私は看護師の健康評価機能を重視し、「日本財団在宅看護センター」は勤務者全員が看護師である必要はないのですが、管理者は看護師が担います。全国各地で日本財団マーク入りの車を見ますが、このセンターはそれらをきちんとつなぐハブの役割を果たしてほしいと思っています。日本財団から開業時の支援もいただけることは大変心強く、数年内に津々浦々とはいいませんが、それなりの地域にネットワークが広がってほしいと願っています。

  • 笹川陽平会長

    笹川

    いくつかの成功例ができれば大きく変わっていくと思いますが、このようなチャレンジングな仕事は、最初は抵抗が強いかもしれません。しかし世の中の変化を呼び起こすのは常に少数意見です。昔、日野原重明先生と共に予防医学を充実させなければならないと「ライフ・プランニング・センター」を立ち上げた頃は、血圧計すら看護師に持たせなかった時代でしたが、今や隔世の感があります。ホスピスナースを見ても、看護師は非常に志の高い方が多く、病人あるいはケアの受け手にとって精神的にウエイトが高いハートの部分は看護師が背負っておられます。日本の看護師は質・量ともに世界有数ですので、在宅でやってみようという優秀な人たちが相当いらっしゃるのではないかと期待しています。

  • 喜多悦子会長

    喜多

    医者はどうしても技術を使う方に気持ちが傾くのに対して、看護師は踏みとどまることができます。自立して評価に耐えるような、成功モデルを作らなければなりません。日本財団の協力の下に笹川記念保健協力財団の全力を注いでやってまいります。

  • 笹川陽平会長

    笹川

    是非、よろしくお願いします。ワンパッケージで充実した支援ができるような強力な支援体制ができると思います。

  • 喜多悦子会長

    喜多

    その体制を活かし、社会を変えていきたいと強く思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(2014年1月対談)

当財団はNursingnowキャンペーンに参加しています。
Nursingnowとは、ナイチンゲール生誕200年となる2020年に向け、看護職への関心を深め、地位を向上することにより、人々の健康の向上に貢献することを目的に展開されている世界的なキャンペーンです。
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/nursing_now/nncj/index.html

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