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“Don’t Forget Leprosy” ハンセン病を忘れないで WHOハンセン病制圧大使就任20周年啓発キャンペーン始動

笹川ハンセン病イニシアチブ(所在地:東京都港区)は、8月4日開催のウェビナーを皮切りに、コロナ禍にあってもハンセン病問題を置き去りにすべきでないというメッセージを世界に向けて発信するために、Don’t forget leprosy(ハンセン病を忘れないで)キャンペーンを開始します。これは、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使の就任20周年に合わせて約10か月にわたり実施するものです。今後、同キャンペーンの一環として、ウェビナーシリーズの開催(全6回)、各国メディアを対象とするメディア・ブリーフィングの実施(オンライン)、テレビ・ラジオ・SNS等を通じた大使メッセージの発信、動画メッセージ集の制作・配信、ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃のためのグローバル・アピールの開催(1月末)などの活動が計画されています。

初めての世界規模の開催となったハンセン病回復者団体グローバル・フォーラムの参加者と笹川陽平WHOハンセン病制圧大使(2019年、フィリピン・マニラ)

コロナ禍とハンセン病
コロナウィルスの蔓延により、ハンセン病に関わるさまざまな取り組みが縮小・中止を余儀なくされています。特にコロナへの対応のため、多くの国で新規患者の発見・治療活動に遅れが生じ、いくつかの高蔓延国では2020年の統計上の新規患者数が前年に比べ半減するといった事態も生じています。また、コロナ禍がもたらした社会変容は、元々多くが脆弱な環境にあるハンセン病当事者に対しても深刻な打撃をもたらしました。各国政府が実施したロックダウンにより、医療サービスへのアクセスが困難となり、治療やリハビリテーションが行えない、生計手段を失ったことで生活苦に陥る、ハンセン病当事者であるという理由でさらなる偏見や差別に直面するなど、現場レベルでは多くの問題が発生しています。こうした事態に対し、笹川大使は「コロナ禍にあっても、ハンセン病に関わる様々なアクターが継続的に努力をしていくということが何よりも大切なことであり、ハンセン病問題は決して置き去りにされるべきではありません。」と述べています。

WHOハンセン病制圧大使就任20周年
笹川陽平日本財団会長(所在地:東京都港区)は、2001年にWHOハンセン病制圧大使に就任しました。以来、今日まで、病気からの解放と偏見や差別からの解放はオートバイの前輪と後輪であり、両方が機能しなければ前進はないとして、「医療面」と「社会面」の双方から「ハンセン病問題のない世界」の実現に向けて活動を続けてきました。現場には問題点と答えがあるという信念から、世界中の現場を200回以上訪れ、多くのハンセン病患者・回復者と会い、直接話を聞き、彼らの人生を見てきました。訪れた国は20年間で約100カ国に上ります。

“Don’t Forget Leprosy”ウェビナーシリーズ
キャンペーンの正式なスタートとなる8月4日開催の第1回ウェビナーでは、ゲストに世界保健機関(WHO)南東アジア地域事務局長のプーナム・シン博士、並びに、インド全国で活動を展開するハンセン病回復者団体APAL会長ヴァガヴァタリ・ナルサッパ氏をゲストに迎え、“Don’t Forget Leprosy”キャンペーンの目的やねらいを紹介すると共に、世界のハンセン病回復者と笹川大使がコロナ禍のハンセン病対策を直接議論する場を設けます。以後、来年5月まで隔月で5回にわたってウェビナーを開催します。スケジュール詳細はイニシアチブのホームページをご覧ください。

ハンセン病について
ハンセン病は、らい菌が主に皮膚や神経を侵す慢性の感染症です。未だ世界では年間20万人余りの新規患者数が報告されています。治療法が確立された現代では完治する病気ですが、治療の開始が遅れたり、治療を中断したりすると、抹消神経が障害を受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障害につながることがあります。また、ハンセン病は完治する病気にも関わらず、多くの回復者およびその家族が、ハンセン病に対する社会の根強い差別や偏見に今なお苦しんでいます。

笹川ハンセン病イニシアチブについて
笹川ハンセン病イニシアチブは、笹川保健財団および日本財団と笹川陽平WHOハンセン病制圧大使がハンセン病のない世界の実現を目指す戦略的アライアンスです。笹川陽平WHOハンセン病制圧大使および笹川陽平が会長を務める日本財団(1962年設立)と、ハンセン病対策に特化した財団として設立された笹川保健財団(1974年設立)は、45年以上にわたり世界各地でハンセン病対策に取り組んでいます。「医療面」では、1975年以降、WHOを通じて世界各国政府によるハンセン病対策を支援しており、その累計は約2億ドルにのぼります。また、「社会面」については、日本政府などと連携し、国連総会における「ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃決議」の採択(2010年)や、国連人権理事会を通じた国連ハンセン病差別撤廃特別報告者の設置(2017年)に大きく貢献しています。