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最後まで「食べる!」ことを大切にケアに取り組む

本記事は、笹川保健財団が実施する「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業研修を受講後に兵庫県豊岡市で開業した大槻恭子氏の事業所紹介です。

看護小規模多機能型居宅介護事業所 リガレッセとは

「ずっと家に帰りたかったおばあちゃん、リガレッセの天井の梁をみて『あぁ、ここは家か』そう言って安心して、ほっとして、旅立てたんです。」これはあるご利用者様のお孫様から頂いた言葉です。地域の人々の手により大切に残されていた築150年の庄屋屋敷、時を経て再びRIGARESSEとして命の物語が動き始めたのです。

屋敷の周辺には多くの放棄地がありました、農家さんの指導を受け現在はオーガニック農園となりました。日々のご利用者様のお食事や健康や環境を地域に発信していける場となれるよう取り組んでおります。また、施設の前にカフェ(現在は休止中)を併設し一般の方も出入りできるサードプレイスを計画しました。それにより、ケアを地域に開いて行ける事、死生観の醸成を含めた看護が浸透した地域づくりの一つの仕組みとして活動していきたいと思っています。地域看護は街づくりとの相互作用が大きく両方の観点での看護介入が必要と感じています。

きっかけは子供のアトピー性皮膚炎

食べることを大切にしようと思ったきっかけは、子供のアトピー性皮膚炎でした。ベビー服も着れないほどの全身の湿疹で昼夜苦しみました。色々な書籍を図書館で読み、身体をつくっているのは食べ物である事に納得し「よし、それならそれをやってみよう!」と田舎に移住(何でも昔から実践し、結果を見るのが好きでした)。

自分で畑を耕しオーガニック野菜を作り、地元で作られる調味料を使いました。約1年で元気になった子供を見たときに、看護はもっと「食」からも考える必要があることを認識し今に至っています。

最後まで食べるために大事にしていること

専門職としての視点や介入は必要ですが、それだけでは足りないと感じます。その方にとってのその時の「食べる」が、何を意味するのか?をしっかりと見つめる事が大切なケアの視点ではないかなと感じます。そこには人間らしさを忘れないケアする側の愛情があり、ナラティブなアプローチが求められるのだと感じます。

私は人が「この方はもう食べられない」と人の食べることにジャッジを下すことはとても倫理的な問題があると感じており「人は最後まで一滴でも食べられる、味わえる」と認識しています。

この思いをご利用者様のご家族にお伝えしたところ「母は炭酸ジュースが大好きでした」とお嫁さんが必死で炎天下の中、数少ない自動販売機まで走り、最後の一口を届けられたこともありました。

他にも多くのナラティブを大切にしてきました。ずっと食べたかった妻の手作り茶碗蒸し、思い出のある稲荷ずし、そして家族で過ごしたお正月を思い出すお雑煮。そもそも「食べる」ということの権利は誰のものなのでしょう。看護ではそれをどのように捉えていくことが望ましいのでしょう。これからも考え続けたいテーマです。

これから挑戦したいこと

起業家育成事業のテーマ「看護師が社会を変える」は、地域に出て、リアルな地域課題を肌で感じている私達だからこそ、捉えることができるテーマだと思っています。

看取りへの課題はもちろんのこと、農家さんと共に考えたい食の安全性や森林組合の方と起こしてみたい環境へのプロジェクト、

そして過疎化する街のモビリティの問題などなど、チャレンジしてみたいことは沢山あります(笑)。

広義でのパブリックヘルスケアを仲間と共に楽しみながら摸索し続けたいです。

兵庫県豊岡市の特徴

訪問中にコウノトリが羽を広げる姿に遭遇することもあり海、山、川と美しい自然に包まれています。日本海に面しているため冬季は積雪が厳しく、大雪時には孤立してしまう地区もあるほどです。

人口約8万人ですが一市五町の合併をしおており、面積は東京23区とほぼ同じで人口密度は約100/㎢。

おおよそ、東京に100人がいるところに1人のイメージです。若い方の都市部への流出問題もあり課題は多くあると感じています。

看護師が地域でできること

より多くの看護師さんが地域に出て「街づくり」の視点で活躍されることが社会の大きな力になると感じます。整理整頓で有名なこんまりさん、家に入ったら、まず手を合わせその家の声を感じるところから始められます。私達地域看護師もそんな気持ちで地域を捉えケアに入らせて頂けると素敵ですよね。

それはきっと課題解決を地域の方々と共にしていける大切な第一歩になるのかなと思います。

一般社団法人ソーシャルデザインリガレッセ

法人名:一般社団法人ソーシャルデザインリガレッセ
事業所名:看護小規模多機能型居宅介護事業所リガレッセ
代表者:代表理事 大槻 恭子(「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業研修 1期修了者)
住所:〒669-5356 兵庫県豊岡市日高町荒川310
電話:0796-44-1500 メール:info@rigaresse.or.jp
HP:https://rigaresse.or.jp/