2021年８月に、私のWHO親善大使就任20周年に合わせてDon’t forget leprosyーハンセン病を忘れないでーキャンペーン立ち上げてから９か月が過ぎた。この間、６回に渡るウェビナー、５回の特別動画の制作・配信、55カ国の政府への協力要請に加え、世界各地の当事者団体、NGO、研究機関らと連携した啓発・メディアキャンペーンを実施し、多くの方々からご協力をいただいた。このキャンペーンは当初、5月で終了予定であったが、引き続き取り組んでいくことを決めた。この場を借りてお礼とご報告を申し上げたい。

こうした中、5/22から世界保健総会が対面で開催された。私も４年ぶりにジュネーブを訪れ、コロナ前と同様に、ハンセン病問題の重要性を伝えるために、各国政府の保健大臣に面談を申し込んだ。嬉しいことに、今回は12か国の保健大臣と会うことが出来た。どの国も、コロナ対策等で忙しいことは承知しているが、「人類史上最古の感染症であり、有史以来現在に至るまで、世界中で多くの患者・回復者・その家族らがいわれのない差別・偏見に苦しんできたハンセン病の制圧は人類の悲願である」という私の言葉に真剣に耳を傾けてくれた。一部の国からは、コロナの状況も落ち着いてきたので、是非自分たちの国を訪問して欲しいとの要請も受けた。

一方で、コロナ禍において、多くの国で患者の発見活動が停滞し、治療や障害ケアを受けられない人々が世界中に存在することをあらためて実感した。私は、今こそDon’t forget leprosyの精神の下、WHOハンセン病制圧大使として、各国でのハンセン病対策の遅れを取り戻すため、私の残りの人生のすべてを捧げる決意である。

WHOハンセン病制圧大使
笹川陽平

Leprosy Bulletin 109号