笹川ハンセン病イニシアチブ（所在地：東京都港区）は、第2回ハンセン病回復者団体グローバルフォーラムを2022年11月6日から8日までインドのハイデラバードで開催しました。21カ国20団体の代表者約100名が参加しました。テーマは、「ハンセン病回復者の尊厳を守るために、ハンセン病回復者団体の役割と能力を強化し、最大化する。」でした。フォーラムには、ミス・ワールド・ブラジルのレティシア・セザール・ダ・フロタさん、ミス・スプラナショナル・インドのプラーニャ・アヤガリさんが参加しました。また、特別ゲストとして国連ハンセン病差別撤廃特別報告者のアリス・クルス氏を迎え、さらに、笹川ハンセン病イニシアチブの戦略的アライアンスのメンバーであるWHOハンセン病制圧大使の笹川陽平氏も参加しました。

3日間に渡り開催したフォーラムは、笹川ハンセン病イニシアチブが新型コロナウィルスの大流行時の2021年8月に立ち上げた「コロナ禍にあってもハンセン病を置き去りにすべきでない」を発信する「Don’t Forget Leprosy」(ハンセン病を忘れないで)キャンペーンの一環として開催しました。今回参加した回復者団体は、これまでも積極的にキャンペーンに参加しています。プログラムでは「回復者団体の能力開発」、「インクルージョンの達成」、「良好なパートナーシップの形成」のセッションが行われました。最終日には多くのサイドイベントが開催されました。

フォーラム最終日の総括において、WHOハンセン病制圧大使の笹川陽平氏が次のように述べました。「かつてハンセン病患者・回復者は、自分たちの権利を主張することが困難な立場にありました。今回、世界各国のハンセン病回復者団体の代表が集まり、第2回グローバルフォーラムを開催したことは、私にとって深い感慨を覚える経験でした。このフォーラムは、世界各国のハンセン病回復者団体が一堂に会して開催するものであり、参加者が一体となって声を上げることができる場です。参加者全員が自国に戻り、このことを仲間に伝え、さらに団結することを望みます。それが、すべてのハンセン病回復者の生活環境の向上につながるのです。このような自発的な動きが出てきたことは本当に素晴らしいことです。」

この呼びかけに賛同したミス・スプラナショナル・インドのプラーニャ・アヤガリさん（開催都市ハイデラバード出身）は、「このイベントに参加するまで、ハンセン病のことを知りませんでした。この問題は、子どもたちや若者たちに伝えるべきだと思います。この問題を子どもたちや若者たちに伝えることで、ハンセン病に対する考え方が変わるはずです。このイベントからたくさんの良い学びを得ることができ、生涯忘れることはないでしょう。」と述べました。

ミス・ワールド・ブラジルのレティシア・セザール・ダ・フロタさんは、次のように述べました。「今回のイベントを通じて、とてもモチベーションが上がりました。ブラジルに戻ったら、ハンセン病患者のために時間を使いたいと思います。ミス・スプラナショナル・インドと共に、世界中でハンセン病に対する認識を高めていきたいと思います。」

インドのハンセン病回復者を代表して、APAL（インドハンセン病回復者協会）会長のマヤ・ラナヴァーレ氏の講演では、笹川ハンセン病イニシアチブのような組織によるハンセン病の啓発活動により、世界のシナリオが変化していることを紹介しました。さらに、次のように述べました。「このフォーラムの決議は、明日から開催される第21回国際ハンセン病学会で、私が発表します。私の声は、偏見や差別に直面してきた多くの人々の声です。ありがたいことに、今は状況が改善されつつあります。」 また、IDEAガーナのコフィ・ニャルコ氏、MORHAN（ブラジル）のファウスティーノ・ピント氏も、マヤ・ラナヴァーレ氏の声に賛同し、締めくくりのセッションでスピーチを行いました。

フォーラムに参加した回復者団体で作成した決議文は、2022年11月9日からハイデラバードで開催される第21回国際ハンセン病学会で発表される予定です。

ハンセン病について

ハンセン病は、主に皮膚や末梢神経を侵す感染症です。新型コロナウィルスの大流行で症例発見ができなくなる以前は、年間20万人以上の新規症例が報告されていました。ハンセン病は多剤併用療法で完治しますが、未治療のままでは後遺症が残ることもあります。推定300万～400万人がハンセン病によって何らかの障害を持ちながら生活していると考えられています。現在ハンセン病は完全に治癒可能な病気にもかかわらず、多くの神話や誤解が存在しています。世界各地で患者や回復者、その家族までもが偏見や差別を受け続けています。そのため、教育や雇用、社会参加の機会が制限されています。