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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター116号】大使メッセージ:過去から学び、未来を描く

笹川陽平WHOハンセン病制圧大使とベルゲン国際ハンセン病会議に参加したハンセン病回復者団体の代表者、2023年6月21日~22日、ノルウェー、ベルゲン

2023年は、ゲルハール・アルマウェル・ハンセン博士がらい菌を発見して150周年にあたる。私は、この機会を有効活用し、世界に向けてハンセン病問題の解決を訴えたいと考え、6月21日~22日にかけて、ベルゲン大学との共催により「ベルゲン国際ハンセン病会議」を開催した。会議には、世界27カ国から200名が参加し、テドロスWHO事務局長やターク国連人権高等弁務官からもメッセージをいただいた。

私がこの会議の中で特に伝えたかったことは、人権問題としてのハンセン病は、残念ながららい菌が発見された150年前と比べ、大きな進歩は見られないということである。確かに、2010年に国連総会でハンセン病差別撤廃決議および「差別撤廃のための原則とガイドライン」が全会一致で採択されている。これは、国際社会が「ハンセン病は人権問題である」ということを認めた証左といえる。

しかし、ハンセン病患者・回復者・その家族らは、基本的な社会生活(教育、就業、結婚など)を営むうえで、今も深刻な差別を受けている。中には、「自分には人権があるのか」、「ハンセン病と告白したら新たな差別を受けるのではないか」というセルフ・スティグマを抱えている当事者も数多く存在する。

ベルゲン会議において、世界中からたくさんの当事者団体の代表が参加し、彼らがハンセン病との闘いの先頭に立ち、目覚ましい成果をあげていることを確認できたことは成果の一つであった。ハンセン病患者、回復者、その家族らが社会の一員として活躍できる真にインクルーシブな社会を実現するために、私は今後も最大限の努力を傾注していきたい。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平