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公開講座中間レポート【共に老いる中で「死」をどう考えるか】

財団では2024年公開講座【共に老いる中で「死」をどう考えるか 〜ケアを受ける人も担う人も〜】を、10月17日から全6回で開催しています。第3回までの中間レポートをお届けします。

12月の残り2回の詳細、お申込みについてはこちらをご覧ください。

第1回 レポート

第1回目は生命倫理政策研究会共同代表のぬで島 次郎先生から、「死ぬまでと死んだ後のケアまでひとつながりに〜地域包括ケアが目指すべきコミュニティの理念を考える」をテーマに、死への過程だけでなく、死後までを含めたケアを講じていただきました。

我が国は、超高齢社会という人類史上初の事態に突入しました。これまで、基本は健康と若さ、病気は治すことを目指してきました。現在は、病人とはいえないまでも健康水準が低下しているのが当たり前の高齢者が蔓延した社会です。そしてその先には死があります。死に逝く本人と身近な家族や知人だけでなく、そのような方々を看・護る者にも身近になっている死があります。

先生の講義から、私どもは加齢、終末期、看取りそして死後までをひとつながりのものとして対応することにおいて個人、家族そしてそのような人々をケアする看護職らをふくむ地域社会に必要なグリーフケアとなると理解しました。

第1回講義の内容は12月12日まで期間限定公開いたします。聞き逃した方はこちらからご覧ください(パスコード: 0nsaNtL?)。また、ぬで島先生の次回講義は12月12日、「人生最終段階への医療者(と家族、周りの者)の関わり方〜生命の終結につながる行為をどこまで認めてよいか、海外の動向から考える」です。

第2回・第3回 レポート

東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター 上廣講座 特任教授の会田 薫子先生には、第2回、第3回の講義をご担当いただきました。

第2回「エンドオブライフ・ケアについて考える」では、国内外の意思決定のあり方の推移の解説と、医療の選択肢や医療を受ける個々人の価値観が多様化していることから、患者と家族間そしてケアチームとの意向が共有されること、そのために繰り返し対話することが重要であるとし、可能な限り、患者本人の意思を確認できるうちに緩やかでも意思を整えておくべきとのACP(アドバンス・ケア・プラニング、人生会議)の基本を丁寧に解説下さいました。改まった会議ではなく、関与する誰もが、日々の雑談的対話から本人の価値観、死生観、人生観を把握し記録し多職種で共有し、支援につなげることとされ、医療者は「常にアンテナを高くし、ご本人の価値観、死生観、人生観が現れているようなことをうまくキャッチしてください」と、具体的事例を示しつつ助言下さったことが印象に残りました。

第3回講義「長寿時代の臨床死生学 ― 老化の知見を医療の意思決定に活かす」では、元気な若年の人とフレイルの進んだ人とでは、同じ病気でも病態の推移や医療アプローチが違うと指摘され、医療側は、可能な限り、心肺蘇生法や血液透析などの高度技術を行使することではなく、どのように生をまっとうし、死を迎えたいかという意思決定の中に、フレイルティの評価を取り入れ、ご本人ご家族と共有、話し合い、身体的治療に加え、心理的、感情面への応答が重要と解説下さいました。