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【WHOハンセン病制圧大使ニュースレター125号】ハンセン病当事者が必要な医療を受けられる社会を目指して

WHOハンセン病制圧大使の笹川陽平氏(左)と、アヌラ・クマーラ・ディサナヤケ スリランカ大統領(右)2025年2月、スリランカ

インド・ハンセン病の日にあたる1月30日に、第20回目となる「ハンセン病患者・回復者に対する差別撤廃のためのグローバルアピール」を開催した。今年は、世界55か国の保健省から支援を得るとともに、ハンセン病対策の最前線にあたるオディッシャ州・ブバネシュワールから、100名近くのハンセン病回復者とともに発信することが出来た。

その後、15年ぶりとなるスリランカを訪問した。日本財団は、2009年に同国での内戦が終結して以降、深刻な被害を受けた北部ジャフナ周辺での小学校建設・修復、負傷した兵士に対する支援策の一環として義肢装具士を養成する学校の開校など、様々な人道支援を行ってきた。ハンセン病についても、1995年の制圧以降、一貫して支援を継続してきた。今回の訪問で特に印象的だったのは、ジャフナにおいて、ハンセン病回復者団体による年次総会へ参加したことである。会場には、国内各地から100名近くの回復者が参加し、当事者に対する差別撤廃を政府へ強く訴えていくべきことなどが合意された。コロンボでは、大統領、首相、外務大臣、保健・マスメディア大臣、子ども・女性問題大臣らの政府首脳と面談し、上述した人道支援分野における私たちの活動のさらなる深化に加え、スリランカからハンセン病をなくすために、年内にハンセン病全国会議を開催することを提案し、合意を取り付けることができた。

2025年は、ネパール(5月)、アフリカ地域(6月)、スリランカ(11月)を対象にハンセン病会議を開催することを計画している。しかし、私にとって、これらの会議の開催はゴールではなく、ハンセン病ゼロという目標を達成するための「きっかけ作り」に過ぎない。先月86歳になった私にとって、ハンセン病との闘いは決して終わらない。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平