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笹川ハンセン病イニシアチブ ヤングスカラープログラム:インドネシアでの経験と教訓

メンターチームのメンバー(左から)ロニ・サプトラ氏、ケルスティン・バイゼ氏、アル・カドリ氏、ムー・アルファ氏、サルマワティ氏、ユリアティ氏、ラフマワティ氏、エルマワティ氏

2025年7月、インドネシアを訪問し、笹川ハンセン病イニシアチブ主催による第3回世界ハンセン病当事者団体会議と3年に一度開催される国際ハンセン病学会(ILC)への参加、およびブディ・グナディ・サディキン保健大臣と共に東ジャワ州の蔓延地視察を行った。

インドネシアのハンセン病当事者団体PerMaTa 南スラウェシは、非営利団体YDTIと協力し、2024年4月から1年間、「笹川ハンセン病イニシアチブ ヤングスカラープログラム」のパイロットフェーズに参加しました。ハンセン病を患う4人の若者が「スカラー」として選ばれ、ハンセン病当事者の権利擁護のためのロールモデルや活動家、リーダーとしてのスキルを強化するプログラムに参加しました。

スカラーは、南スラウェシ州の州都マカッサルで3か月間の集中コースに参加しました。経験豊富な講師陣によるこのコースでは、ハンセン病や人権、アドボカシーから提案書の書き方や英語まで、幅広いトピックが取り上げられました。また、スカラーは、PerMaTa南スラウェシ–YDTIチームの現地活動にも参加し、NGO活動についての詳細を学びました。集中コース終了後、スカラーはそれぞれの地元で小規模なプロジェクトを立案し、実施しました。また、生計を立て、よりプロフェッショナルな活動家となるために、各自が選択した個人プログラムにも参加しました。

メンターチームとして、私たちはスカラーたちと共に、決して平坦ではない道のりを歩んでいきました。当初、4人のスカラーのうち3人は依然として頻繁ならい反応に悩まされていました。2人は、ヤングスカラープログラムを通して受けた仲間からのサポートのおかげで自信を深め、心の安らぎを持って努力を続けることができました。しかし、残念ながらそのうちの一人、私たちの親友フィクリン氏は、この症状が原因で亡くなりました。

こうした経験を通して、スカラーたちは、ハンセン病はもはや問題ではないと思われている世界において、ハンセン病患者や回復者が直面する複雑な課題を深く認識するようになりました。このプログラムを通して、彼らの課題に対する取り組みへの献身はより深まりました。同様に、PerMaTa南スラウェシの私たちチームも、スカラーたちと共に歩むことで大きな恩恵を受けました。チームメンバーは、自分たちがこれまでどれほど進歩してきたか、そして、後輩たちのロールモデルとしてどれほど重要であるかを認識するにつれ、自らのスティグマを克服するうえで進歩を遂げていきました。若者の間で強力なネットワークが形成され、今後のスカラープログラムを通じて、さらに拡大していくことを期待しています。

私たちのような小規模な組織にとって、ヤングスカラープログラムはいくつかの課題を伴いました。インドネシアの様々な地域から人々を集める必要があり、他の活動に加えて、研修やメンタリングのための時間を確保する必要がありました。スカラーたちにとって、生計や家族に関する他の義務を果たしながらプログラムに参加するのは、大変なことでした。しかし、皆がこれらの課題に喜んで取り組んでくれました。インドネシアでのスカラープログラムの成功は、個々のスカラーたちの将来を確かなものにし、権利に基づくハンセン病運動をさらに拡大・強化するうえで役立っています。私たちへのご支援と信頼を寄せてくださった笹川ハンセン病イニシアチブに感謝申し上げます。

編集者注:ヤングスカラーズプログラムの第2回応募期間は2025年5月30日に終了し、その後、面接が行われ、PerMaTa 南スラウェシ–YDTIは6月30日に結果を発表しました。詳細は、以下よりご覧ください。https://ydti.org/project/current-project/shf-young-scholar-program/

メンターのアルファ氏が、ヤングスカラープログラム参加者にレポートの書き方を教えています(2024年8月8日)。
ヤングスカラープログラムの参加者であるユスニアティさん(右)は、ハンセン病当事者が知っておくべき、障害を予防するための必須スキルについて学んでいます(2024年8月10日)。
「笹川ハンセン病イニシアチブ ヤングスカラープログラム」の参加者4名のうちの一人、ユスニアティさんが学校での啓発キャンペーンにおいて講演(2024年8月)。