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正解のない問いを考える6日間            ~ささかわ未来塾2026 九州スタディツアー開催報告~

長崎・平和公園にて。
原爆・放射線と健康について学びました。

笹川保健財団は、2026年8月17日から22日にかけて、長崎・五島を舞台に「ささかわ未来塾2026 九州スタディツアー」を開催しました。

「ささかわ未来塾」は、日本のみならず世界の健康課題を考え、対応できる人材の育成を目的とした研修プログラムです。

今年度も、看護・保健・医療・福祉などを学ぶ保健系学生・大学院生が全国から参加し、世界の問題を含むリベラルアーツ分野を導入部に、離島・へき地、地域保健、国際保健から原爆・放射線と甲状腺の在り方診断、ハンセン病問題など幅広く、講義やフィールドワークを通して学びました。


地域の暮らしから保健・医療を考える

五島の歴史や文化に触れ、
地域で暮らす人々への理解を深めました。

限られた医療資源の中で、地域で暮らす人々をどのように支えていくのか。医療だけではなく、行政の取り組みや地域の歴史・文化にも触れながら、「そこで暮らす人」の視点から地域保健について考えました。

長崎では、原爆・放射線と健康、国際保健などについて学びました。また、最終日にはオンラインでハンセン病問題について講義を受け、病気だけでなく、その背景にある歴史や社会、人権についても考える機会となりました。

当事者の声から考える「過剰診断」

今年度のプログラムの特徴の一つが、「過剰診断」について、専門家による講義に加えて、実際にその問題を経験した当事者からお話を伺ったことです。

医学的な知識やデータだけではなく、検査や診断を受けた人が何を感じ、どのような選択を迫られるのか。当事者の経験に耳を傾けることで、参加者は「何が患者にとって最善なのか」「医療者はどのように意思決定を支えるべきなのか」を、医療を受ける側の視点から考えました。

6日間の学びを、自分たちの「問い」へ

研修の最後には、参加者が4つのグループに分かれ、6日間の学びをもとに、それぞれが関心を持った課題について議論し、発表しました。

発表テーマは、
• 「医療者を離島医療に呼び込むためには?」
• 「原子力災害から考える正しさ・意思決定・スティグマ」
• 「子宮頸がんワクチンに拒否感を持つ人に対して、医療学生としてどう関わるか」
• 「国として二次離島から一次離島への移住を進めるべきか否か?」
の4つです。

最終日のグループ発表。6日間の学びをもとに、
それぞれが関心を持ったテーマについて議論し、成果を発表しました。

医療従事者の確保を「働く場所」だけでなく住居や交通、子育てなど暮らし全体から考えたり、医学的な「正しさ」だけではなく患者や住民の価値観、権利、意思決定について考えたりと、それぞれのグループが異なる視点から議論を深めました。

講義で得た知識をそのまま受け取るのではなく、現地で見聞きしたことや自らの経験と結びつけ、「自分ならどう考えるか」を言葉にした最終発表となりました。

正解を知ることから、問い続けることへ

離島医療、原爆・放射線と健康、過剰診断、国際保健、ハンセン病問題――。扱ったテーマは異なりますが、いずれも専門的な知識だけでは一つの正解を出すことが難しい課題です。

異なる立場や価値観に触れ、自分自身の「当たり前」を問い直すこと。そして、そこで生まれた問いを、それぞれの今後の学びや活動につなげていくこと。

笹川保健財団は、これからも「ささかわ未来塾」を通じて、地域と世界の健康課題を多角的に捉え、自ら考え、行動する次世代の人材育成に取り組んでまいります。