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COVID-19ハンセン病コミュニティ支援 in バングラデシュ

バングラデシュでのプロジェクト活動地

バングラデシュは南アジアに位置し、日本の約4割の国土に1億6千万人余りの人口を有する、世界で最も人口密度の高い国のひとつです。国民の平均年齢はなんと20代半ば。目覚ましい経済発展を若いエネルギーが支えています。

バングラデシュは1998年に国レベルでのハンセン病の制圧目標(人口1万人当たりの患者数が1人未満)を達成しましたが、今でも毎年3千人を超える新規患者が発見されています。保健省は、2030年までにハンセン病による障がい、差別、病気をゼロにするという目標を掲げ、県レベルでの制圧を目指しています。

他の国と同じく、コロナウイルス感染はバングラデシュ全土で拡大しており、各県内では警戒地区、注意地区などの指定に応じた感染対策が行われています。ボグラ県では警戒地区が増えており、状況は刻々と移り変わっています。

プロジェクト実施団体

本プロジェクトは、北部のハンセン病蔓延地域である4県の回復者団体が主体となって取り組んでいます。特に、ボグラ県にある回復者団体ボグラ地域連合は、他3県の団体に先駆けて2014年から活動を行っています。4つの回復者団体と連携を取り、活動を支えるのが、レプラ・バングラデシュ(Lepra Bangladesh)です。レプラは100年近くにわたり活動してきたイギリスを拠点とする国際NGOで、バングラデシュ以外にもインド、ジンバブエ、モザンビークでハンセン病やリンパ系フィラリア症患者への支援を行っています。当財団もボグラ地域連合が団体として確立する前の2011年から、ボグラ県の回復者への支援をレプラ・バングラデシュを通し行ってきました。

プロジェクトの状況

回復者団体のリーダーたちは、コロナ禍におけるハンセン病の患者・回復者の現状を正しく把握するとともに、自分たち自身でできる限りの感染対策を取れるようにすることが重要であると考え、戸別訪問を行いコロナ対策や病気に負けない身体を作るために必須となる栄養に関する情報*を届けています。また、回復者団体の発意で「コロナファイターズ」という有志によるグループを結成し、自分たちが住むコミュニティに対する啓発活動も行っています。

*栄養に関する情報:2017-2018年にボグラ県で笹川保健財団が助成事業の一環としてレプラを通じ実施した栄養教育による知見が活かされています。栄養教育に関する活動レポートはこちらをご覧ください。

戸別訪問の記録をもとに、生活の困窮度合いが高い回復者に食料をはじめとする救援物資を届けることを計画していますが、それを実行するにあたっては、行政当局のサポートが欠かせません。しかし、新型コロナウイルス対応に注力している行政から協力を得るのは簡単なことではありませんでした。そのような中、当局との会議では思いがけず嬉しいこともありました。回復者団体は、政府に公式な団体として登録されていないため、活動にさまざまな制約がありますが、その登録に向けて前向きに支援するという旨回答があったのです。また、政府が高齢者や障がい者に対して設けている給付金制度を活用したらどうかとの助言もありました。今回の活動をきっかけに、正式な登録団体としてより活動を強化し、支援を必要とする回復者を支える新しい道筋が見えてきました。

回復者団体をサポートするNGOスタッフは、人口密度が高い中で感染対策を取り、変動する状況下で判断しながら活動を展開していくことが今回のプロジェクトの難しさだといいます。さらに活動地域での洪水といった自然災害もあります。こうした様々な困難に見舞われながらも、回復者のリーダーたちは協力し合いながら活動を進めています。

回復者団体ボグラ地域連合レプラ・バングラデシュfacebookでは日々の活動の様子がご覧いただけます。

当財団が実施する新型コロナ対策支援については、こちらをご覧ください。