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COVID-19ハンセン病コミュニティ支援 in インドネシア

プロジェクト活動地・インドネシア南スラウェシ州

南スラウェシ州は、インドネシアのほぼ中央に位置し、美しい自然と多様な文化が息づく地域です。州都マカッサルは、かつて東西交易の集積地として栄えた都市で、現在ではインドネシア東部の中心的な都市として発展を続けています。

インドネシアは、2000年に国レベルでハンセン病の制圧目標(人口1万人当たりの患者数が1人未満)を達成しました。そして現在は州レベルでの制圧を目指して対策を進めています。インドネシア全34州の内、制圧未達成は8州あり、南スラウェシ州もそのひとつです。また、ハンセン病患者、回復者およびその家族に対する差別・偏見が根強いことから、医療面と社会面における取り組みが必要とされています。

南スラウェシ州はインドネシアのなかでも新型コロナウイルスの感染が最も拡大している地域のひとつであることから、移動制限を始めとするさまざまな規制が日々の生活に影響を及ぼしています。

プロジェクト実施団体

南スラウェシ州において、ハンセン病問題の解決に向けて中心的な役割を果たしているのが、ハンセン病回復者団体ペルマタ(PerMaTa)南スラウェシ州支部です。2007年に設立されて以来、偏見・差別をなくし、ハンセン病患者・回復者の生活の向上を目指して、州内の12県において活動を展開してきました。その活動を支えるのが、同じく、南スラウェシ州に拠点を置き、社会的弱者救済のための活動を行うNPOのDare This Indonesia (DTI)です。DTIはオランダに本部を持ち世界的な活動を展開するDare This Cooperativeと連携し、障害、アクセシビリティ、環境保全問題等に取り組んでいます。

コロナウィルス感染拡大による制限や、感染への恐怖を抱える中、PerMaTaの回復者リーダーたちは、感染対策を取りながら、支援のニーズが高い5県を対象に精力的に活動を行っています。

プロジェクトの状況

州と各県の回復者リーダーたちは、コロナ禍におけるハンセン病の患者・回復者の現状を正しく把握するとともに、自分たち自身でできる限りの感染対策を取れるようにすることが重要であると考え、戸別訪問から始めることにしました。予防策の書かれたリーフレットやマスク、石鹸をもって患者や回復者宅を訪問すると、新型コロナウイルスのことはテレビで知っているものの、具体的な予防策は知らない人が多いことがわかりました。回復者リーダーたちは「新しい日常」ではどのようなことに注意が必要なのか丁寧に説明しています。訪問は歓迎されることが多く、コロナ以前のように握手を求められることもあり、感染のリスクにヒヤッとする場面もありました。

マスクは南スラウェシ州においても品薄になっていることから、手作りマスクを3000枚用意することにしました。その製作をハンセン病回復者や障がい者で縫製のできる方々にお願いしたのは、経済的な影響を強く受けていることを案じ、生計を支える一助になればと願った回復者リーダーのアイデアでした。

戸別訪問を通じ、わかったことがいくつかありました。政府からの新型コロナウイルス対策の緊急支援が行き届いていないことや、公的支援を得るために必要な身分証を持っていない人々がいることなどです。こうした状況を受け、各県の回復者リーダーは、村や県に事情を説明し、適切に対応してもらうよう積極的に働きかけました。その結果、無事に公的支援を受けることができるようになったケースもありました。

今回の回復者リーダーたちの戸別訪問は、新たな挑戦でもありました。それは、自分たちが持つ回復者の名簿にない、新たな患者・回復者を訪問することでした。各県の行政当局と交渉して、地域の保健センターでハンセン病患者の名簿を入手することができました。入手した名簿に基づいて訪問を開始しましたが、予期しない大雨による洪水や地滑りの影響で予定通りに訪問できないこともありました。また、訪問先が都市部から遠く離れた山間部にあったため、足元の悪い険しい道をひたすら上ってゆくこともありました。山の頂上付近に住んでいるある回復者は、リーダーたちの訪問に驚くと同時に歓び、「ハンセン病とわかってから、人目につかないところまで移動した」と話してくれました。回復者リーダーたちは病気に対する偏見・差別の根強さを改めて実感しました。

ハンセン病患者のなかには、周りに知られたくないという思いから、保健センターに住所の一部だけ、もしくは偽りの住所や名前を申告する人もみられ、回復者リーダーたちは、訪問先を特定することに大変苦労しています。現在は、緊急で支援が必要な人々のために2回目の訪問を行い、お米などの食料品を届けています。回復者リーダーたちの活動は野を越え山を越えまだまだ続きます!

PerMaTa南スラウェシDTIfacebookでは日々の活動の様子がご覧いただけます。

当財団が実施する新型コロナ対策支援については、こちらをご覧ください。