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医ケアキッズに遊ぶ楽しみを!

本記事は、笹川保健財団が実施する「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業研修を受講後に神奈川県藤沢市で開業した岡本直美氏の事業所「在宅看護センターLanaケア湘南」の紹介です。

Lanaケアの小さな畑の始まり

子ども食堂をやりたいというスタッフの発案で、 Lanaケアの小さな畑の準備が始まりました。おいしいだけではなく、栄養もあって、農薬や化学肥料を使っていない野菜を使ったものを提供したいと思い、近所の家庭菜園を契約しました。わずか7坪という小さな畑ですが、野菜の育て方を教えてもらい、農薬を使わず、有機肥料だけを使って、年間20種ほどの野菜を作っています。失敗も多いですが、収穫の喜びを感じられます。

当初予定していた子ども食堂を開催するほどの野菜の収穫は見込めず、子ども食堂の開催はできませんでしたが、この野菜を収穫する喜びを医療的ケア児に体験してもらうことは、かけがえのないものである、との思いに至りました。そして、畑という非日常の環境で、お友達との出会いの場を提供することにしました。

交流の場になった

収穫するまでには大変な労力を要します。土を耕し、たい肥を混ぜ、畝を作ります。育てる野菜によって畝の高さ、幅、混ぜるたい肥の配合、すべて異なります。隣に植える野菜は虫がつきにくい組み合わせで植えます。(私の休日は、長靴を持って畑に向かうことから始まります。)

医ケアキッズと家族、スタッフがお弁当を持ち寄って、じゃがいも堀の体験会をしたり、医ケアキッズ自身が植えたブロッコリーを収穫しに来てもらったこともあります。レジャーシートを敷いて「初めまして」の挨拶が交わされ、保護者の交流が始まります。手作りのおいしいパンを持ってきてくれるお母様、お菓子を配ってくれるきょうだい児もいます。そこで、苦労を分かち合える仲間ができます。

活動に至った背景

医ケアキッズに体験を提供したいと思いました。未経験から脱出してほしい。1つの体験が次の体験への挑戦につながり、可能性は無限大になります。ノビシロたくさんの医ケアキッズに沢山の初体験をしてほしいと思いました。その成功体験は、親の自信にもつながります。

呼吸器を付けて気球に!

支援者を含め、皆で初めての体験をしようと思い、気球に乗って大空に飛び立ちました。呼吸器が付いていても、酸素吸入をしていても、へっちゃらです!どんどん地上のお友達が小さくなり、皆で大空からの景色を見ました。無事に地上に着地したときの安堵感と、もっと飛んでいたかった残念感。お父さんもお母さんも一緒に乗り込んだから、写真を撮れなかったガッカリ感!また、飛ぼうね!とお友達と約束しました。

船から花火大会!

気球に乗って、空から地上を見下ろす経験をした医ケアキッズの次の初体験は、船に乗って下から夏の花火を見てみよう!でした。釣り船を貸し切って、車いすのキッズも、寝たきりのおじいちゃんも船に乗り込んで、花火大会を見物しました。おじいちゃんは涙を流して喜んでくれました。

コロナ禍でもできる活動を継続

コロナ禍でこれらのイベントは縮小していますが、芋ほり、やさいの収穫体験は継続しています。収穫した野菜をミキサー食にして食べたよ、とママから聞くと嬉しくなります。

ベッドの上で天井しか見ることのなかった医ケアキッズの日常が、普通にお友だちと遊び、普通に外出ができる社会に変えたいと思い、活動を続けます。だって、この子たちはノビシロは無限大なのだから。

活動をする上で気を付けていること

利用料金は頂きませんが、送迎はなく、参加に関してはご両親の判断にお任せしています。訪問看護は居宅においての支援ですから、場の提供に留めています。 至れり尽くせりなイベントにしてしまうと、「お客様」になってしまい、期待が裏切られるとガッカリしてしまいますが、主体的に参加することで、自身で楽しみ方や解決策を講じることができます。

今後の展望

医ケアキッズの日中活動の場が地域には少ないので、2022年秋を目標に、重症心身障害児のデイケアを創造します。

医ケアキッズは2歳、3歳と大きくなると、入浴問題が大きくなります。いつまでもベビーバスを使い続けることはできませんが、呼吸器をつけながら入れるお風呂はありません。そこで、デイケア事業所に浴室を作ることにします。

お風呂場から直接外に出られるように設計をして、外でどろんこ遊びをしたら、お風呂に入ってからお家に帰る。そんなことを考えています。お外を見ながらお風呂に入れるって、素敵でしょ。

神奈川県藤沢市について

藤沢市と言えば、何と言っても湘南海岸です。江ノ島は一年中観光客で賑わいます。住みやすい街にも選ばれる若い世帯が移住しやすい街です。南北に広い市なので、北部はのどかな農村地帯もあります。Lanaケアの畑もこの辺りにあります。訪問中に牛舎の前を通ることもあります。市内のどこからでも富士山が見えるのも自慢です。
お正月の恒例の箱根駅伝では戸塚中継所を過ぎたあたりから藤沢市に入ります。遊行寺の坂を下り、湘南海岸に出ます。遊行寺の近くには東海道五十三次の藤沢宿がありました。藤沢宿は江戸日本橋から数えて6番目の宿場です。
すでに戦国時代から、小田原北条氏が弘治元年(1555年)に藤沢大鋸町に伝馬(てんま)を置くなど、交通上の要地ではありましたが、慶長6年(1601年)に駅制が定められるにあたって藤沢宿として整備され成立しました。また、それ以前の慶長元年(1596年)に徳川将軍家の宿泊施設である藤沢御殿が築かれていました。

訪問看護をされている方々へ

私は、病院勤務ではできなかったことが訪問看護であれば何でもできると思って22年前に訪問看護師になりました。しかし、地域で療養される方をお支えするには訪問看護だけでは充足できません。地域力を駆使なくては充足しないのと感じています。

孤立問題、8050問題、制度のはざまに溺れてしまう方々も「最期まで幸せに生きる」ために支援を求めています。制度上できないことを、ではどうすれば充足できるのかと常に考えています。

看護師は自己犠牲というのか、奉仕の心で行動することが多いと思います。スタッフが少しでも心地よく業務を遂行できるように、心地よい事務所、かわいい制服、きれいで装備が充足している訪問車両などを用意して、スタッフを受け入れることが大切であると考えます。(写真:母校に出向いて恩師に挨拶)

一般社団法人つかさ 

法人名:一般社団法人つかさ 
事業所名:在宅看護センターLanaケア湘南
代表者:代表理事 岡本直美(「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業研修 2期修了者)
住所:〒252-0804 神奈川県藤沢市湘南台5-8-9ジュネスⅡ103
電話:0466-54-7100 / メール:lanacare@tbz.t-com.ne.jp
HP:https://lanacare.jp/

▼支所
事業所名:在宅看護センターLanaケア湘南藤沢
住所:〒251-0053 神奈川県藤沢市本町3-5-5ケインズ湘南Ⅰ1階
電話:0466-52-7846 / メール:shonanfujisawa@lanacare.jp