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Sasakawa看護フェローからの現地レポートその⑥ ヨルダンUNRWA本部でのインターンシップ

エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院 修士課程に留学中のSasakawa看護フェロー 岡田 香織さんから、ヨルダンにあるUNRWA(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East )本部 保健局でのインターンシップの体験レポートが届きましたのでご紹介します。

エモリー大学での岡田さん
エモリー大学での岡田さん

インターンシップ体験レポート

私は現在アメリカにあるエモリー大学ロリンス公衆衛生大学院の修士課程に在籍しています。エモリー大学では2年間のプログラムの一環として公衆衛生分野で200時間の実習が必修となっています。このため現在夏休みを利用しUNRWA(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East )のヨルダンにあるUNRWA本部の保健局でインターンをしています。

ヨルダンのUNRWA本部 保健局の前で
ヨルダンのUNRWA本部 保健局の前で

日本では精神科訪問看護に携わっていたため、パブリックメンタルヘルスに興味があり、インターンではUNRWAの保健センターで実施されているメンタルヘルスと心理社会支援のプログラム(Mental Health and Psychosocial Support)の強みと弱みをヨルダンの保健センターにて評価するプロジェクトに修士論文として取り組んでいます。このプロジェクトは私にとって初めてのプロジェクトであり、計画から実施までの全てを自分で行っています。

インターン前からプロジェクトの計画を立てていましたが、ガザの戦争状況下で適切な評価方法をアメリカにいる時点で見極めるのは困難でした。しかし、現地に来ることで、現在の保健センターの実際の状況や運営を理解し、評価計画を立てることができました。このことから、現地のシステムがどのように運営されているか、スタッフがどのような課題を感じているかを理解することがプログラム評価において重要であることを学びました。実際に現地で働くことでしか得られない知見も多く、自分が現場のことを知ることで初めて有効で効果的な研究ができることも実感しました。

ヨルダンの街並み (モスク)

私がこのプロジェクトを計画し、実施できているのは、エモリー大学で研究に必要なスキルを基礎から学ぶことができたこと、そしてUNRWA、エモリー大学、笹川保健財団の支援のおかげです。エモリー大学では、基礎的な研究スキルとともに人種差別や文化の違いが健康に与える影響を学びました。また対象となるコミュニティの文化、慣習、規範、宗教などを考慮し、介入方法を現地の人達と調整する必要があることを学びました。これらの考え方は、患者がケアの中心であり、主体性を持って医療者と協働していく看護理論に似ています。この理解により、公衆衛生の実践においても常に念頭に置くべきポイントが明確になり、このプロジェクトにも反映されています。

そしてUNRWAのヨルダンの本部スタッフ、現地オフィスの職員、保健センターの医療スタッフの協力、またエモリー大学の修論担当の先生をはじめ修論チームの手厚い指導のおかげでプロジェクトを進めることができています。

さらにエモリー大学からの奨学金や笹川保健財団からの支援がなければ物価が比較的高いヨルダンでの実習は実現が難しかったと感じ、感謝の気持ちでいっぱいです。

UNRWA本部 保健局のスーパーバイザーと

今後はさらに研究方法を学び、メンタルヘルスの啓発、予防、再発予防の視点でHealth Equityを多くの人に届けるとともに、自分が教え手となりたいと考えています。

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