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ICNモントリオール大会に財団支援の日本人看護学生12名が参加

2年に1度の、国際看護師協会(International Council of Nurses; ICN)主催の看護学会が7月1日~5日、カナダのケベック州モントリオールで開催されました。

世界130カ国を超えるICN加盟看護協会をはじめ、看護の専門家が集まる世界最大の学会である本大会には、毎回数千人が参加します。2023年モントリオール大会のテーマは「Nurses together: a force for global health」でしたが、グローバル・ヘルスを担う「force(力)」の中には次世代を担う看護学生たちも巻き込みたいというICNの意図を汲み、この度笹川保健財団は、日本人看護学生(学部生・大学院生)の本大会参加を支援することとしました。

開催直前の緊急募集だったにも関わらず、全国の看護協会および看護系大学に学生募集のご協力をお願いしたところ、20名を超える学生から応募をいただき、最終的に9名の看護学生とSasakawa看護フェロー3名の計12名の日本人学生を、看護の国際舞台に送ることができました。

また、今大会では開会前日にStudent Assembly(学生議会)という看護系学生のための会議が企画されていました。この会議では、世界各地域の学生代表らが事前に議論してきたことをもとに、参加学生らがどのように看護の世界に貢献できるかということを、10グループ程度に分かれて議論していましたが、財団支援の学生たちが各グループ内で、日本の看護学生を代表して発言する姿が見られたことは大きな収穫でした。

アジアの学生代表はシンガポールから選出
グループ内で発言する看護フェローの岩水さん

今回参加した学生たちの多くはICN大会は初参加で、多様性と活気あふれる会場にはじめは圧倒されていた人もいたようですが、それぞれの国や地域が抱える課題や、世界的な潮流を学ぶことができたようです。

Student Assemblyを終えた参加者たち

財団では、大会会期中にSasakawa看護フェローのブースを出展し、プログラムの広報を行ったほか、大会2日目にランチシンポジウムを主催しましたが、三重大学大学院から参加した澤田樹里さんは、ランチシンポジウムでワシントン大学マーラ・サーモン教授による基調講演を聞いて、「リーダーに重要なことの一つは、自分の強みを活用すること、そして目の前の課題にとらわれすぎず、自分が心から貢献したいことに取り組むこと」というメッセージを受け取りました。大会のはじめにこうした気持ちを持つことで、会期中は様々なセッションを楽しむことができたと言います。

参加者全員での意見交換

訪問看護ですでに10年のキャリアをもつ自治医科大学大学院の池田里美さんは、大会で日本の看護師による発表が多くないことを危惧しながら、「思いやり」や「寄り添い」といった言葉で片づけるのではなく、科学的根拠に基づいて、日本の看護が世界に誇れる看護であることを証明したいと意気込みました。

財団支援の参加者の中で唯一、今大会のポスター発表者に選出された慶應義塾大学大学院の佐村紫帆さんは、もともと自身で参加するつもりが、財団の支援を得て、他の学生たちと交流しながら参加した今大会について、「自分がどんなあこがれや展望を持って学会に参加したいと思っているのかを言語化でき、単に学会に足を運ぶよりも意義深かった」と話し、一緒に参加していたSasakawa看護フェローとも話しをするなどして、自身の進路やキャリアを深く考える機会としていました。

ICN大会への日本人参加者が少ない要因を分析した、
佐村さんのユニークな発表

会期中は自由にセッションに参加し、普段会えない世界的な研究者らと意見を交わし、SDGsやPlanetary Health(地球環境問題と健康)、Advanced Practice Nursing(高度実践看護)といった、世界の看護界で重要視されていることに考えを巡らせた6日間。経験を共有した12人の学生たちの今後の活躍が期待されます。

ランチシンポジウムでご挨拶いただいたICN理事の手島恵先生を囲んで

財団主催のブース、シンポジウム詳細については会長ブログ「ICN CONGRESS in モントリオールその2をご覧ください。

国際色あふれる大会初日の様子は同ブログその1から。

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