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Sasakawa看護フェロー石川フィールド視察研修

Sasakawa看護フェロー活動の一環として毎年実施している地域フィールド視察研修。

日本の社会問題、保健医療問題に取り組むリーダーを目指すSasakawa看護フェローたちが、日本財団在宅看護センターを訪ね、同行訪問や意見交換を通じて地域医療やその地域の社会課題について学ぶ機会としています。

2025年度は夏にも1回実施しましたが、3月にも8日~10日、2泊3日で、留学準備中のフェロー5名とアルムナイ2名とで石川県を訪れました。

輪島市の仮設図書館や「こころのケアセンター」などが入る建物前で、在宅看護師の中村さん(前列左から2番目)を囲むフェローたち
在宅看護センターみなぎの事務所内で、訪問地域などについて説明をする中村さん

輪島市では、「日本財団在宅看護センターみなぎ」 を立ち上げた中村悦子さんを訪問し、能登半島震災から2年2か月後の輪島市内を2日間案内してもらいました。

海が隆起し、陸になったところに道路が整備されたが、道路脇には土嚢が積まれている
市内の町野地区のスーパーの奥スペースには被災直後、多くのボランティアが寝泊まりしていた
スーパー近くの民家。豪雨災害で土砂や漂流ごみが流れ込んでしまっているが、持ち主不明で取り壊せないまま取り残されている

能登半島震災では、地震や、その後に輪島市に広がった火災の被害もさることながら、復興に向けて動き始めた9月に起きた豪雨災害により被害が拡大しました。

県内の建物は6万棟以上が全半壊し、この2年で、解体できないものを除くと、97%の解体が完了したとのことでしたが(地産地消文化情報誌「能登」2026年2月号)、被災後自宅に住めなくなった人たちの多くは、各地に建設された仮設住宅に留まっている状態です。

自身もこうした仮設住宅に住みながら訪問看護を行う中村さんの案内で、いくつかの仮設住宅にお邪魔させていただきました。

同行したフェローからは、「看護師が単に医療処置を行うだけでなく、生活そのものに寄り添っており、在宅看護が生活の延長線上にあるものとして機能していた」「都市部との違いを実感した」と感想が寄せられました。

能登半島地震仮設住宅一覧。半島の中でも南の七尾市に比べ、輪島市や珠洲市は被害が大きく、医療過疎も進んでいる。
仮設住宅の案内図
プレハブの仮設住宅。オイルヒーターが整備されているが電気代高騰により稼働できないという
2007年の能登半島地震で妻が他界。今災害では仮設住宅に入居したものの、水害被害にあい、福祉避難所などを経て仮設に戻ってきた宮腰さん(右から2番目)からお話を聞いた
輪島市役所にて。震災後、市内高齢者施設は休止や事業廃止が相次ぎ、半減してしまっている。輪島はもともと過疎だったが、震災でその状況が10年進んでしまったという
特別養護老人ホーム「輪島荘」では、被災後インフラが復旧するまでの間どのように入所者の健康を護ったのか、具体的な話を聞いた
地域生活支援施設「ウミュードソラ」は被災時、中村さんが取りまとめ、福祉避難所として機能した
今は鉄道が通っていない旧輪島駅は道の駅として、各地と能登をつなぐバスなどの発着地となっている
道の駅の2階は、子どもたちの学習や地域のイベントスペースとして活用されている
道の駅近くで中村さんが営むコミュニティカフェ。「みんなの保健室わじま」として住民の健康相談にも対応する
かつての賑わいを伝える朝市のポスター
元日の火災で店舗も住居も焼きだされてしまった朝市跡地
ショッピングセンター内に復活した現在の朝市。輪島塗など伝統工芸品から地元食材まで様々なものがそろう
中村さんは市内のどこを歩いていても住民たちから話しかけられる。朝市でお会いした、被災前から家族の看護をお世話になっていると話す方と
住んでいた仮設住宅が浸水した際は福祉避難所ウミュードソラに滞在していたという宮腰さん(左)と「これからも伴走していきたい」と笑う中村さん

復興といっても人が戻らず、コンビニや郵便局も開いていない日がある、深刻な過疎の状況を目の当たりにしたフェローたち。訪問した日には金沢県知事選が行われていたこともあり、「もしあなたが輪島市の市長だったら、何から手をつける?」という喜多会長の言葉に、皆それぞれ考えを巡らせていました。

能登を出発し、最終日は石川県看護協会を訪問。小林会長と小藤前会長にご挨拶し、小藤前会長からは、看護管理に関する講義をいただきました。

小林会長(前列中央)と小藤前会長(前列左)とご一緒に
様々な改革を行ってこられた小藤前会長による講義

金沢では他にも、「禅」を西洋に伝えた鈴木大拙を学ぶ「鈴木大拙館」や兼六園を訪れ、能登と加賀の文化や街並みの違いなども体感しました。

Sasakawa看護フェローの地域フィールド視察研修では、毎年異なる地域を訪れ、様々な体験をします。

笹川保健財団では、海外で学ぶフェローたちが、足元の日本について学ぶ機会を今後も提供してまいります。

鈴木大拙館「水鏡の庭」の瞑想空間(左)と兼六園(右)