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COVID-19ハンセン病コミュニティ支援 in ネパール Part 3 情報発信

2020年6月から9月まで、新型コロナウイルスの感染拡大の深刻な影響を受けているネパールのハンセン病患者、回復者とその家族に向けた支援事業を行ました。本事業はネパールのハンセン病基幹病院のひとつであり、また回復者の社会的・経済的な自立を促すNGOでもあるNepal Leprosy Trust(NLT)と、ネパール南部タライ地方における回復者や障害者などで構成されるセルフヘルプグループ(SHG)の協力の下、1)緊急支援物資の供給、2)公的支援確保のための政府・関係者へのアドボカシー、3)情報発信の3つを活動の柱として実施されました。これらの活動を同時を行うことで、一時的な支援物資の供給のみでなく、包括的に当事者コミュニティをサポートすることを目指しました。

正しい情報、必要な情報を伝える

活動の3つめの柱である情報発信では、住民に新型コロナウイルスに関する正しい情報を伝え、予防を促すと同時に、コロナ禍における当事者を取り巻く現状を市民社会に伝えて、ハンセン病の問題が置き去りにされないように訴えるという2つを目的に、NLTとSHGのメンバーが共同して計画し、実行しました。

主な情報発信の手段の一つは新型コロナウイルスの予防を呼び掛けたラリー(行進)です。マスクをつけて十分な距離を保ち、大声で呼びかける代わりに、手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスを推奨するメッセージカードをそれぞれの参加者が掲げ、街中を行進するという「静かな」ラリーを行ました。これまで10回のラリーが行われ、280人が参加しました。

もうひとつはラジオジングル(番組と番組の間に流されるコマーシャルや短い音楽など)です。ラジオジングルを通じ、新型コロナウイルスだけではなく、ハンセン病に関する以下のメッセージを送っています。

①不要不急の外出を控えましょう
②外出するときはマスクをつけて人混みを避けましょう
③頻繁に石鹸で手を洗いましょう
④熱、咳、呼吸困難は新型コロナウイルスの症状の可能性があります。症状がある場合は診療所に行きましょう
⑤皮膚のパッチはハンセン病の症状かもしれません。病院で早めに治療を受けましょう
⑥ハンセン病の薬がなくなったら保健師に相談しましょう
⑦ハンセン病の障がいを防ぐことは可能です。家庭でセルフケアをしましょう
⑧ハンセン病の治療薬は無料です
⑨必要な情報があればNLTに電話をするか、近くのSHG源相談しましょう

メッセージは1日に32回ずつ流されました。ネパールの人にとってラジオはテレビと並んで主要な情報源であるため、多くの人にこのメッセージが届きました。このラジオジングルの効果もあり、相談窓口として設けたホットラインにはこれまで323回もの相談が寄せられました。

情報発信活動で得られたもの

このような情報発信活動によりSHGメンバーは正しい手の洗い方やマスクの付け方を学び、むやみに新型コロナウイルスの感染を恐れるのではなく、正しく防ぐための知識を得ました。同時に、この活動を通して得られた感染予防の知識をコミュニティ全体に周知させる役割も果たすことができ、地方政府からも大変感謝されました。これまで病気や障がいのために社会から距離を置いて生活することを強いられてきた人々が、積極的に情報を発信し、正しい知識を普及する活動を通じて社会と関わり、行政やコミュニティとの関係の改善につながったことは、非常に大きな意義のある成果です。

Nepal Leprosy Trustのfacebookでは、日々の活動をご覧いただけます。

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