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COVID-19 ハンセン病コミュニティ支援 in インドネシア Part 4 活動まとめ

2020年5月から8月にかけて、インドネシア南スラウェシ州の5県において、COVID-19ハンセン病コミュニティ支援事業が実施されました。新型コロナウイルスの感染拡大により深刻な影響を受けているハンセン病患者、回復者とその家族を支援するために、ハンセン病回復者団体ペルマタ(PerMaTa)南スラウェシ州支部が主体となって、食料等の支援、政府や関係機関へのアドボカシー、ソーシャルメディアを使用した情報発信という3つの活動を行いました。今回は事業全体の最終報告をお届けします。

食料支援

ペルマタのリーダーたちは、地域の保健センターから取得したハンセン病患者の名簿をもとに、3か月で913名の患者・回復者を訪問し、新型コロナウイルスに関する正しい情報とマスクを届けました。彼らの中には、コロナ禍で生計手段を絶たれた上、身分証明書を持っていない等の理由から、政府の支援を受けられずにいる人々がいることも分かりました。各県のリーダーたちは、この訪問の結果をもとに、支援の必要性が高い患者、回復者511名を再度訪問し、米や卵などといった当面の生活を支える食料を届けました。

ペルマタのリーダーによる訪問は初めてだったにも関わらず、多くの家庭で歓迎されました。一方で、近所の人にハンセン病だとわかってしまうことを恐れて、当事者団体の人には自宅に来て欲しくないと、訪問を拒んだ家庭もありました。また、ペルマタのリーダーは913名の他にも100名以上の患者宅への訪問を試みましたが、名簿に名前や住所が正しく記載されておらず、会うことができませんでした。自分がハンセン病であることが家族や地域の人に知られ、差別されること恐れ、住まいを特定できないよう保健センターに正しい住所や名前を伝えていない人が多数いたのです。ペルマタのリーダーたちは改めてハンセン病への偏見・差別が根深い問題で、じっくりと取り組む必要のある課題であることを実感しました。

アドボカシー

各県のリーダーたちは、戸別訪問で聞いた問題の解決にも取り組みました。ハンセン病患者、回復者が政府の支援を継続的に受けられるように、身分証明書の発行手続きを代行したり、公的な支援リストに追加してもらえるよう県や村に要請しました。また、ハンセン病が完治しているにも関わらず、感染を恐れて学校から登校を拒否されている子供のため、その学校を訪問しハンセン病の正しい知識を伝えるとともに、学校に通うことができるように申し入れを行うこともありました。

ペルマタの活動に積極的に協力してくれた行政機関や保健センターもありました。山間部などの遠隔地に住む患者宅の訪問に同行してくれた保健センターのスタッフは、一緒に家を探したり、各県のリーダーに情報やアドバイスもくれました。行政や保健センター等と良い形で関係を構築できたことは、継続的なハンセン病問題への取り組みという点で、意義の大きい成果となりました。

情報発信

ペルマタのリーダーたちは、FacebookやWhatsApp(LINEのようなコミュニケーションアプリ)などのソーシャルメディアを活用して、活動の様子や新型コロナウィルスに関する情報などを積極的に発信しました。団体、各県リーダー個人のものを含めると、3カ月間ほぼ毎日何らかの投稿が行われました。そうした熱心な情報発信により、彼らの活動の様子は他のハンセン病蔓延州の回復者や行政担当者の目にもとまり、関心が寄せられました。さらに、ネットメディアにも取り上げられたことから、多くの人にペルマタの活動やハンセン病について知ってもらうことができました。

本事業を通じて、ペルマタの各県のリーダーたちは自信と責任感を持って、新型コロナウイルスの感染拡大による影響をうけたハンセン病患者、回復者に支援を届け、様々な問題に対処することができました。また、行政機関や保健センターとの協力関係を強化し、団体としての発信力強化にも取り組めたことは今後に繋がる大きな成果となりました。

また、ペルマタ南スラウェシは、11月から当財団が新たにスタートした助成プログラムの下、今後1年間コロナ禍のハンセン病コミュニティの救済に取り組むことになりました。本事業での経験を活かし、ハンセン病患者、回復者のための活動を一層強化できるよう、団体のさらなる発展を期待しています。

ペルマタ南スラウェシDTIのfacebookでは日々の活動の様子がご覧いただけます。

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